現代では持続可能な社会を目指す動きが加速していて、その一環としてグリーンビルディングが注目されています。グリーンビルディングとは、日本語で「環境配慮型建物」と訳されることも多く、環境に配慮した建物ということができるでしょう。グリーンビルというと、ビル全体がツタなどの緑で覆われたり、ビルの周りが木々で囲まれた建物を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実は外見ではなく、ビルの持つ機能やパフォーマンスの方に力点を置いて考える必要があります。
グリーンビルディングが注目される背景には、建物が与える環境への影響が大きいことが挙げられます。一般的な建物は、二酸化炭素の排出量が総排出量の約3割になるとされ、地球温暖化対策の点からも変革が求められています。また、そこで使用される飲料は世界的なシェアの約14パーセントを占めるとされ、節水の観点からも重要です。加えて、建物を建築する段階でも無駄な廃棄物を削減したり、エコ資材を選ぶならより持続可能な社会に貢献することができます。この点、世界的にはどんな取り組みが始められているのでしょうか。
多くの商業ビルの建築が盛んなアメリカでは、省エネ暖房システムの導入や換気・空調・窓に加え、照明や配管設備など、環境に配慮した建物の改修が進められており、そのための雇用創出効果も認められているようです。また、アメリカや中国、イギリスやフランスなどで認証制度が誕生しています。日本でも「建築環境総合性能評価システム」が出来上がり、国内の建築事業者や設計事務所、建物のオーナーや不動産投資会社などで利用が進んでいます。今後の展開ですが、今は大型のビルで認証取得が進んでいる現状ですが、小規模ビルではさほど進んでいないという実態があるようです。そのため、小型ビルでも同様に認証取得の普及が求められています。
グリーンビルディングは、昨今論じられることが多い地球環境に配慮した取り組みとして大きな効果を上げられる分野です。多くの人が集う大型の建物では、特にエネルギー消費のパーセンテージから環境を意識し、廃棄物の削減に資する設備が必要になります。建物の構造だけでなく、そこに集う人の行動を推測して、より効率的なエネルギー消費となるように工夫することが大切です。そして、単に認証を得ることを求めるのではなく、自分ができる分野を実践する意識を持ち続けることが、本当の意味での持続可能な社会に役立つ取り組みとなっていくに違いありません。