難しい問題を突き詰めて考えることはできなくても、環境に少しでもやさしくあることは良いことだという程度の認識なら誰にもあるでしょう。近年では、日常の買い物をする店の袋が有料化されたり、スーパーの玄関に容器や缶類を分け捨てられるところも増え、普段の生活の中で意識することはさほど難しいことではなくなってきました。一度やって完結するのではなく、この先もずっと行い続けることこそが負担軽減につながることから、持続可能な手法や行動が身近なところで奨励されています。
環境問題が話題に上るようになり、聞き慣れない言葉も増えてきました。数多くの課題に率先して取り組む国々ではよく聞かれる言葉の一つに「エコロジカル・フットプリント」があります。はっきりとは分からなくても、単語を見れば「環境」や「足あと」から、地球や取り巻く環境にどれぐらいの負荷を与えているか、消費者である私たちが日々暮らす中でどれだけの「足あと」を残しているかということが想像できるでしょう。
一つの物を手にしたり、口にするまでの道のりをさかのぼってみると、その物が作られるのに使われた土地や場所、育てるのに使われた水や飼料、それらを運び、売られるまでにかかる輸送燃料など、想像を遥かに超える資源が使われていることに気づかされます。技術の進化と共に世界はどんどん豊かになっていくように思われますが、使われる資源も増える一方です。
そうした負荷を少しでも減らし、持続可能な暮らしを心がけましょうと世界的な自然環境関連組織も声を高めています。世界自然保護基金ジャパン(WWF)でも指標などの提示で分かりやすく解説されているほか、取り組みを社会単位で考えていくために書かれていることがあります。
負荷を増やし続けることは損傷を増やしていることでもあり、そうした代償を払わなければならないのは、負荷を与え続けている私たち以外にはないということですが、一人が一日の生活で容易く実感できるかと言えばそうではありません。目の当たりにしない、肌身で感じられないからこそないがしろにされやすい問題でもありますが、ちょっとした考えの積み重ねで生活習慣を変えていくことはできます。 食の安全が問われはじめ、国産がちょっとしたキーワードにすらなっていますが、外国産であるものより国産である方が、輸送燃料や資源消費ということを考えれば負荷軽減という視点からも理にかなっているのです。